ゆいまーるはどう生まれたか?

 
 
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ゆいまーるはどう生まれたか?

「この子は将来、日本を背負って立つ大物になるからね」

主人の実家で、姑が近所の人に語った、ちょっとした孫自慢。
息子の障害が分かった日、この言葉が思い出され、私の頭の中をぐるぐる回っていました。

「日本を背負うどころか、この子は自分の人生を普通に過ごすことすらできないのでは」
そう思えてきて涙が止まりませんでした。

典型的な自閉症で知的障害も重度。
専門家の先生の宣告で、普通に夢見ていた子供の将来像が音を立てて崩れ、惨めな気分を味わっていたのです。
プロ野球選手じゃなくてもいい、大学の教授じゃなくてもいい、総理大臣じゃなくてもいい。。

普通に・・・・。。。 どうか普通になってほし・・・い・・

それからしばらくは、健常児を見ると妬ましさで狂いそうになり、障害のある我が子を直視できないという日々が続きました。
自分の奥底の汚い感情がドロドロと出てきて、すっかり親としての自信を無くしていました。
家族や友人と話しても気持ちは一向に晴れず、ますます孤独感にさいなまれていくばかりでした。
自閉症を絶望的な障害だと思ったからこそ、そのような最悪の精神状態になったのです。
本当に苦しい毎日でした。

今思うと、その期間私はひどい顔をしていたと思います。息子には本当にかわいそうなことをしたと思っています・・・ 失礼きわまりない考えの親だったと思います。

その後、療育を知り、少しずつ前向きに、どうにか毎日の生活をこなしていけるようになっていきました。

そんな中、練馬区の中村橋福祉ケアセンターの「すみれ組」という療育で一緒だった自閉症の母達数人 と仲良くなり、その中から「ゆいまーるラボ」は生まれたのです。

その時のすみれ組の母達にとって、母子分離中の療育タイムにみんなでお茶をしながらおしゃべりをすることが最高のストレス発散の場、そして情報収集の場、悩み相談の場でありました。

泣きながら悩みを相談していたつもりが、いつの間にか笑い話になって辛い涙が爆笑の涙に変わるのが常でした。

世間の風は冷たく(勝手にそう感じていた(^^;)、家の中では子供のことが理解できず悶々とする日々。
相談する相手もなく、家族や友人に相談したとしてもかえってストレスが溜まってしまうことも。。。
診断されてから間のない 自閉症児の親は行く場所がなかったのです。
そういう境遇の人が数人集まれば、ややもすれば
「私達ってかわいそう・・・」
と傷のなめあいになってしまい、世間を恨めしく思いながら悲しみの涙を流すばかりになってしまうことでしょう。

でもその時のメンバーは
「こんなに大変、でも子供はやっぱりかわいい(イライラするすることもいっぱいあるけど(^^;)」
「この子達の障害をしっかり受け止めて、でもあきらめずに前向きに療育をしていこう」
「子供の障害のおかげで母はこんなに強くなれたし、いろんなことを学ばせてもらってる」
「この子達には絶対に学ぶ力がある。大変だけどみんなで支えあって一緒に育ち合おう」

自然とそんな風に思えてくる時間でした。

もちろん、その場ではそう思っても現実はそううまく行かないことの方が多く、また悲しみの涙をハラハラと流すこともあります。

そういう時、そんな思いを聞いてくれて、一緒に考え、行動してくれる仲間の存在ってどれほど心強いことか。

そんな中で
「障害がわかったばかりのお母さん達はどうしてるんだろう」
「きっと辛い思いをしている。私達なんかの経験でも少しは役にたてるんじゃないか」
「自分たち自身も仲間同士で支えあって生活できたら」
という思いが大きくなって、サークル結成となったわけです。

結成当時は数人だったのが、徐々にメンバーも増え、八年目を迎える現在では、三十家族ほどの親子が積極的に活動に参加しています。
月一回の定例会をはじめ、リトミックや作業療法、療育勉強会、 父親勉強会、宿泊キャンプ、遠足、登山など数多くの活動を活発に行っています。

ゆいまーるに参加するようになったお母さん達からよく言われるのは
「孤独だった。ゆいまーるで仲間ができ、気持ちが救われた」
という言葉です。私もまったく同感です。

特に子供に障害があると分かって数年は、親も何をどうしたらいいのか分からないことばかりだし、子供の状態も悪く、親子ともに本当に辛く苦しい日々を送ることが多いと思います。
そのときに「がんばれがんばれ!」だけでは親はつぶれてしまう・・・
逆に「とにかくすべてを受け入れてあきらめなさい」じゃ、成長する力を持っている子どもに大大大失礼!

だからこそ、発達障害の告知をする側は、最初にその子供を育てていく親の方のケアをすべきではないでしょうか。苦しさから起こる悲しい事件をこれ以上増やさないためにも・・。

ほとんどの自閉症児の親は、障害が分かったその時から、まったく未知の右も左もわからない人生を突然始めなければならなくなるのです。

ゆいまーるラボはそういう人生を支えあいたい。

ゆいまーる結成当時、年少さんや年中さんだった子どもたちが今では小学校5,6年生になり、元気に学校に通っています。
ゆいまーるの活動でも、現在元気いっぱい楽しそうに活動に参加している子どもたちをみていると
「泣いたり叫んだり、逃げ出したりばっかりだった子どもたち、本当に成長したよね、そして何より親である自分たちも叫んでばっかりだったけど、落ち着いたよね(^^;」
なんて言い合っています。続けていくことって大変だけど本当に大事だな〜〜〜なんてしみじみ思います。

一人では越えられない障壁も、仲間と一緒なら力強く越えて行ける、親子で思いっきり楽しみ、思いっきりがんばれる。親子で育ち合う。

そして昨日までの悩みを明日への活力に変えて、それぞれが地域で活き活きと生活していける。
ゆいまーるラボはそんなサークルであり続けたいと思っています。


※この文章は、某誌に原稿提供したものに一部加筆したものです
2010.8.11一部修正

 

 
 

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